サンプリング販促とは?販促にサンプリングを活用する際の実施手法や手順などのポイントを解説

消費者に商品を直接提供し、体験を通じてその魅力を伝える「サンプリング」販促。広告やPRとは異なり、実際に“使ってもらう”ことを起点としたマーケティング手法であり、特に商品の認知拡大やトライアル促進において高い効果を発揮します。

本記事では、サンプリング販促の基本から、具体的な実施手法やトレンド、メリット・デメリット、向いている商材、実施手順までを詳しく解説します。

サンプリング販促とは?得られる効果と目的

サンプリング販促とは、企業が自社の商品(試供品や実商品)を無料で消費者に提供することで、商品の認知度向上や購買意欲の醸成を図るプロモーション手法です。

通常、消費者は新しく商品を購入したり、既に使っている商品から別の商品に切り替えたりすることに対して慎重な態度をとります。特に食品・飲料・化粧品など、「味」や「香り」「使用感」が購買の決め手となる商材では、事前に商品を試す(トライアル)体験が購買に直結します。サンプリングによって、「商品に対する不安・疑念の払拭」「ポジティブな初期印象の形成」が可能となり、商品スイッチ(他社製品からの乗り換え)やリピート購入へとつながる可能性が高まります

サンプリング販促を行う主な目的は、以下のようなものが挙げられます。

新商品の認知拡大

発売が開始したばかりの新商品など、まだ消費者がその商品を知らない状態から、商品を手に取ってもらう「きっかけ」を作る目的でサンプリングを実施します。この場合、CMやWeb広告などと組み合わせて実施されるケースが多い傾向にあります。

初回購買の促進

例えば化粧品や日用品の試供品やトライアルパックを配布し、使用感や相性を事前に確認してもらうことで、消費者に安心して商品を購入してもらうことができます。

ブランドイメージの醸成

定番ブランドにおける味・フレーバーの追加や、新ラインナップの展開時にサンプリング販促を行うことで、そのブランド自体の再認知や訴求をあわせて促進することができます。

既存商品の再活性化

すでにマーケットで一定程度の知名度・シェアを誇る定番商品であっても、さらなる売上・シェアの拡大や継続購入を目的としたサンプリング販促が実施されることもあります。

口コミやSNSでの拡散による二次効果

「商品や試供品を無料でもらえた」という体験自体が消費者にとってプラスの価値であるため、サンプリングの対象者がその商品や顧客体験を共有することで、二次的な宣伝効果が見込めます。

また、実施後にアンケート調査やSNSの投稿などからユーザーの声を収集することで、商品開発や改良にもフィードバックを活かせるという利点もあります。

当社がインターネットで実施した消費者調査では、全回答者の57.4%が、「今までに商品の試供品やサンプルを受け取ったことがある」と回答しており、サンプリング販促は消費者にも根付いているポピュラーな販促手法といえます。

Q.あなたは商品の試供品やサンプルを受け取ったことはありますか?

MONE調査データ01

  • 57.4%はい
  • 33.3%いいえ
  • 9.2%どちらともいえない

※出典:2025年5月|当社Webアンケート調査

よく用いられるサンプリング手法とその特徴

サンプリングにはいくつかの方法があり、それぞれに適したシチュエーションやターゲットがあります。代表的な手法を以下に紹介します。

街頭・イベント会場での手渡し配布

人通りの多い駅前や商業施設、または特定のイベント会場などで、スタッフがサンプルを手渡しする方法です。

【メリット】

  • 対面で直接手渡すため、インパクトが強い
  • 配布時に商品説明やブランドメッセージを伝えることができる
  • 一定のエリアやターゲット層に絞った配布が可能

【デメリット】

  • 人件費や設営費・会場使用料などのコストがかかる
  • 天候や交通量など外部要因の影響を受けやすい
  • サンプルを受け取った消費者が使用したか、どのように評価したかが分からない

DM(ダイレクトメール)・郵送による配布

サンプリング商品をダイレクトメールや郵送で消費者の自宅に届ける方法です。自社顧客リストや外部のモニター会員を活用して実施されます。

【メリット】

  • ターゲット属性に応じた精度の高い配布が可能
  • プライベート空間で使用してもらえる
  • アンケートフォームへのリンクやハガキ等を同梱することで、消費者のフィードバックを得やすい

【デメリット】

  • 梱包費・郵送費がかかるため単価が高くなる
  • 郵送物未達などの理由により、一定の割合の消費者に届けられない可能性がある
  • DM・郵送物を開封されずに捨てられるリスクがある(開封率の測定も困難)

商品に試供品を同梱して配布(バンドルサンプリング)

既存の販売商品に試供品を同梱することで、新たな商品を試してもらう方法です。

【メリット】

  • 購買意欲の高い層に届けられる
  • 試供品をインセンティブとして、既存販売商品の売上向上効果が期待できる

【デメリット】

  • 既存商品を購入する消費者に限定されるため、リーチ数が限られる
  • バンドル品に係るロット管理や生産調整が必要になる可能性がある
  • 試供品を受け取った層のフィードバックを集めにくい

SNS・アプリを通じたクーポン配布による店頭引換

SNSやアプリ上でデジタルクーポンを配布し、指定の店舗で商品と引き換えられる仕組みです。

【メリット】

  • 小売事業者店舗への送客を促進できる
  • ID-POSデータを活用するなどして、いつ・どの商品を引き換えたかなどのデータが取得可能
  • SNSやアプリのフォロー・ダウンロード数向上に寄与するなどの副次効果も期待

【デメリット】

  • 小売事業者との事前調整(店頭在庫・オペレーションなど)に一定の時間と労力が発生する
  • 知名度(配荷率)の低い商品や新商品などでは実施が難しい場合がある

インフルエンサーを活用したSNSレビュー型サンプリング

インフルエンサーやクリエイターに商品を提供し、使用体験をSNSで発信してもらう方法です。

【メリット】

  • 若年層やデジタルネイティブ世代との相性が良い
  • SNSでの拡散など、二次的な波及効果が期待できる
  • ターゲット層に合致したインフルエンサーを選べば、比較的安価なコストで高い訴求力を発揮

【デメリット】

  • 信頼性の確保が必要(ステルスマーケティングにならないよう配慮)
  • インフルエンサーの選定や交渉など、外部の企業・事務所などとのやり取りに一定の時間と労力が発生する

当社が実施した消費者調査では、「小売事業者の店頭で商品を受け取る」サンプリングを経験したことがある、と回答した方が約半数にのぼり、身近なお店で商品を受け取りたい、というニーズが強いことが伺えます。

Q.あなたは、試供品やサンプルをどのような場所で受け取りましたか?

MONE調査データ02

  • 50.2%店頭
  • 25.2%ネット経由で自宅
  • 23.2%街頭
  • 16.8%イベント
  • 8.0%展示会
  • 7.5%その他

※出典:2025年5月|当社Webアンケート調査

サンプリングに向いている商材・向いていない商材

商材によって、サンプリング販促に向いているもの、向いていないものがあります。以下はその一例です。

向いている商材の一例

飲料・菓子

味や香りなど消費者の嗜好が人によって異なるため、事前に試すことで購入に繋がりやすい商材です。商品によりますが、比較的単価も安いものが多いため、特にアルコール飲料・清涼飲料水・お菓子などでサンプリングが多く実施されています。

化粧品・ヘアケア・スキンケア用品

テクスチャや香り、肌なじみなど、消費者との相性を実感してもらうためにサンプリング販促が実施される傾向にあります。一部の商品には単価が高いものがあるため、「お試しパック」のような少量規格品を作ったり、「●点購入すると1本プレゼント」のような施策を実施したりすることもあります。

サプリメント・健康食品

継続的な使用・服用を前提としている商品が多いため、そのきっかけとしてサンプリング販促を実施するケースが多いです。

向いていない商材の一例

単価の高い商品

サンプリング販促は消費者に無料で商品をお渡しするため、高単価の商品についてはコスト負担が大きくなってしまいます。上記のように、その場合は少量規格品を作って対応するなどが考えられます。

サイズ・重量が大きな商品

商品自体のサイズや重量がかさむ商材の場合、消費者が商品を持ち帰ることが困難であったり、配送費用にコストが掛かったりする可能性があります。

サンプリング実施の流れと各プロセスのポイント

効果的なサンプリング販促を実施するには、事前の計画と後工程まで見据えた設計が不可欠です。以下は一般的な実施プロセスです。

目的とKPIの設定

まず、何を目的とするのか(例:認知拡大・トライアル促進など)を明確にし、それに基づいてKPI(配布数、引換率、認知度向上率など)を設定します。

予算の策定

サンプリング商品の代金、告知物の制作費、システム費、配送費、人件費などを含めて全体の予算を設定します。

対象商品・数量の決定

サンプリング対象の商品と、配布予定数を決定します。

配布ターゲットの選定

性別・年齢・ライフスタイル・購買履歴などに基づき、ターゲット層を明確にします。

配布方法・チャネルの選定

前述の各種手法の中から、目的やターゲットに最適な手段を選びます。必要に応じて、複数手法の組み合わせも有効です。

小売店との調整(必要に応じて)

小売店の店頭で商品を引き換える場合は、小売店舗との在庫調整や告知媒体(例:公式アプリ・店頭POP・デジタルサイネージ)の確認など、事前の交渉・調整を行います。

告知の実施

ターゲットにサンプリングを認知してもらうためのクリエイティブを制作します。その後、SNSやWeb広告、自社メディアなどを通じて告知を行います。

サンプリングの実施(配布)

事前の設計通りにサンプリング商品を配布します。

効果測定・分析

引換率、アンケート結果、SNSの反応などをもとに効果を分析します。PDCAを回すことで、次回以降の精度を高められます。

MarketingOneは、ドラッグストア店頭でのサンプリング販促が実現可能!

当社の販促ソリューション「MarketingOne」は、ドラッグストアを中心とした大手小売事業者に導入いただいており、店頭で商品を引き換えるデジタルクーポンを発行することが可能です。既に多くのメーカー・代理店様が、MarketingOneを活用して店頭サンプリングを実施しています。

引換の対象商品はJANコード単位で制御するため、複数の商品から1品を引換可能なクーポンを発行することも可能です。詳細はお問い合わせください。

※施策の実現にあたっては、対象小売事業者様のご承認が必要です。

まとめ

サンプリング販促は、消費者に商品を実際に体験してもらうことで、認知向上や購買促進につながる有効な施策です。ただし、手法によって向き不向きがあり、また実施には緻密な計画と効果測定まで含めたPDCAの運用が求められます。

目的・ターゲットに応じた適切な手法選定と、商品特性に合わせた設計を行うことで、費用対効果の高いプロモーションが実現できるでしょう。