サンプリング販促の効果とは?消費者調査の結果から見る、サンプリングによる購買行動の変容について詳しく解説
2025年8月13日
消費者の購買行動が多様化し、従来の広告手法だけでは商品の魅力を十分に伝えることが難しくなっている現代。そんな中で注目を集めているのが「サンプリング」販促です。実際に商品を体験してもらうことで、消費者との強い接点を生み出すこの手法は、どのような効果を発揮しているのでしょうか。
本記事では、当社が実施した消費者調査の結果をもとに、サンプリング販促の実態と効果について詳しく解説します。
サンプリング販促の進化:従来型からデジタル活用へ
サンプリング販促自体は決して新しい手法ではありません。古くから、駅前や商業施設、イベント会場などで企業スタッフが商品を手渡しする光景は珍しくありませんでした。化粧品の試供品配布や飲料の試飲キャンペーンなど、消費者に直接商品を体験してもらう取り組みは、長年にわたって多くの企業に活用されてきました。
しかし、これらの従来型サンプリングには課題もありました。配布場所や時間が限定される、天候に左右される、配布後の消費者行動を追跡しにくいといった制約があったのです。
そうした課題を解決する形で登場したのが、デジタル媒体を活用したサンプリング販促です。現在では、以下のような手法が行われています。
1.SNSクーポンによる店頭引換
メーカーが、XやInstagram、LINEなどのSNSプラットフォームでデジタルクーポンを配布し、指定の店舗で商品と引き換えてもらう方式です。消費者はスマートフォンひとつで簡単に参加できるのがメリットです。
2.ポイントサービス等を活用したサンプリング
いわゆる「ポイ活」サイトや、モニター・アンケートサイトなどと連携し、そのサービス内の会員に向けてサンプリングキャンペーンを展開する手法です。
3.広告媒体の活用
Webメディアや屋外(OOH)広告、小売事業者が店頭で展開する広告媒体(リテールメディア)上に商品の広告を掲載すると同時に、広告を閲覧した消費者が特設サイトに遷移することで商品のサンプリングチケットを取得できる仕組みです。
サンプリング販促の実施による効果
サンプリング販促、とりわけデジタル媒体の活用を行うことで、具体的には以下のような効果が期待できます。
体験型コミュニケーションの実現
従来の「広告」は企業から消費者への一方向的な情報発信でしたが、サンプリングを組み合わせることで、消費者が実際に商品を体験する双方向のコミュニケーションが生まれます。「百聞は一見に如かず」という言葉通り、実際に触れ、味わい、使用することで得られる体験は、どんな広告メッセージよりも強力な説得力を持ちます。
正確なターゲティングの実現
デジタル媒体では、一般的にサンプリング販促を行う会員属性情報や、クーポン配布の条件設定をきめ細やかに設定可能です。サンプリング販促の目的やターゲット層を予め設定し、それと合致するセグメントに配信・配布を行うことで、アナログ媒体よりもより精度が高く、費用対効果の大きな販促が期待できます。
データドリブンなマーケティング
デジタル広告の閲覧データとサンプリングの引換データを組み合わせることで、消費者の興味関心から実際の行動まで一連の流れを可視化できます。これにより、より効果的な広告配信やサンプリング戦略の立案が可能になります。
口コミ・拡散の促進
SNSと連動したサンプリングでは、消費者が体験を自発的にシェアしやすい環境が整います。実際に商品を体験した消費者による投稿は、企業発信の広告よりも高い信頼性を持ち、二次的な拡散効果を生み出します。
消費者調査から見るサンプリング効果の実態
ここまで、サンプリング販促手法の変遷とその期待効果についてご説明してきました。当社では、このようなサンプリング販促に関する消費者の体験や、体験後の行動変容などについて定量的に把握するため、2025年4月から5月にかけて、20代から50代の男女を対象とした消費者調査をインターネット上で実施しました。その結果から見えてきたサンプリングの実態と効果について詳しく見ていきましょう。
1.直近1年間でのサンプリング商品受取回数
まず、消費者が直近1年間でサンプリング商品を受け取った経験があるかを尋ねました。調査結果は以下の通りです。
Q.あなたは、試供品やサンプルを1年間の間に何回くらい受け取った経験がありますか?(直近1年間)
- 34.7%0回
- 26.7%1〜2回
- 9.0%3〜5回
- 4.8%6回以上
- 24.8%よく覚えていない
※出典:2025年5月|当社Webアンケート調査
注目すべきは、約3分の2(65.3%)の消費者が直近1年間で何らかのサンプリング商品を受け取った経験があることです。「よく覚えていない」と回答した24.8%の中にも、実際には受け取った経験がある消費者が含まれている可能性を考慮すると、サンプリングは現代の消費者にとって非常に身近な体験となっていることがわかります。
また、複数回受け取っている消費者(3回以上)が13.8%存在することから、上記のポイ活サイトやモニター・アンケートサイトなどを活用するなどして、サンプリングに対して積極的な層が一定数存在することも明らかになりました。
2.体験したことのあるサンプリング形態
次に、消費者が実際に体験したことのあるサンプリングの実施形態を複数回答で伺いました。
Q.あなたは、どのようなタイプの試供品・サンプル配布を経験したことがありますか?
- 41.1%店頭(ドラッグストア、スーパーなど)での直接商品を受け取るタイプ
- 37.7%商品にサンプルが同梱されているタイプ(おまけやトライアル品)
- 30.1%イベントや街頭での飲料やティッシュが配布されるタイプ
- 14.2%メールやSNSのキャンペーンで住所を登録し、後日商品が配送されるタイプ
- 11.6%LINEやアプリでサンプル引換クーポンを取得し、店頭で引き換えるタイプ
- 10.7%QRコードを読み取り、Webサイト上で無料クーポンを取得し、店頭で引き換えるタイプ
- 7.3%この中にはない
- 6.4%Webサイト上でのバーチャル体験やAR製品デモで完結するタイプ
※出典:2025年5月|当社Webアンケート調査
従来型のサンプリング、すなわち、イベントや街頭での商品配布や、商品にサンプルが同梱されている形式のサンプリングを体験したことのある消費者がそれぞれ30%を超えている一方で、デジタル媒体であるLINEやアプリ、メールやSNSで応募・クーポン取得を行う形式についても、あわせて20%の消費者が「体験したことがある」と回答しました。
さらに、「店頭で商品を受け取るタイプ」を経験した消費者が41.1%にのぼっていますが、このうち一定の割合は、小売事業者のアプリや公式SNS等を経由して引換クーポンを取得していることが想定され、デジタル媒体を活用したサンプリングは消費者に浸透しつつある様子がうかがえます。
3.サンプリングをきっかけとした商品購入経験
さらに重要なのが、サンプリングが実際の購買行動に与える影響です。「サンプリング商品をもらったことがきっかけでその商品を購入したことがあるか」という質問に対する回答は以下の通りでした。
Q.あなたは、試供品やサンプルをもらったことがきっかけで、実際にその商品を購入したことはありますか?
- 23.9%購入したことがある
- 46.0%購入したことはない
- 30.1%よく覚えてない
※出典:2025年5月|当社Webアンケート調査
この結果から、約4人に1人(23.9%)がサンプリングをきっかけとして実際に商品を購入していることがわかります。
この数値は、サンプリング販促の購買促進効果を示す重要な指標といえるでしょう。
また、「よく覚えていない」と回答した30.1%の中にも、潜在的にサンプリングの影響を受けて購入した消費者が含まれている可能性があります。記憶に残りにくい日常的な買い物においても、サンプリング体験が無意識のうちに購買判断に影響を与えている可能性が示唆されます。
4.SNSへの投稿
最後に、消費者がサンプリング販促を体験後、それをSNSに投稿したことがあるかを伺いました。
Q.あなたは、今までに受け取った試供品やサンプルをSNSに投稿したことはありますか?
- 24.4%ある
- 71.5%ない
- 4.1%どちらともいえない
※出典:2025年5月|当社Webアンケート調査
約4人に1人(24.4%)の消費者が、サンプリングで提供を受けた商品や体験をSNSに投稿したことがあると回答しました。
前述の通り、デジタル媒体を活用したサンプリング販促はSNSとの相性が良く、消費者による口コミの拡散が、さらに多くの人の購買に繋がる可能性を示唆しています。
サンプリング販促を主催する企業にとって、こうしたSNSでの拡散を狙ったマーケティングは低コストで大きな波及効果をもたらす一方、悪評の拡散や「炎上」に繋がるリスクもあり、適切な媒体の選択や注意深いコンテンツ設計が求められます。
MarketingOneは、ドラッグストア店頭でのサンプリング販促が実現可能!
当社の販促ソリューション「MarketingOne」は、ドラッグストアを中心とした大手小売事業者に導入いただいており、店頭で商品を引き換えるデジタルクーポンを発行することが可能です。既に多くのメーカー・代理店様が、MarketingOneを活用して店頭サンプリングを実施しています。
引換の対象商品はJANコード単位で制御するため、複数の商品から1品を引換可能なクーポンを発行することも可能です。詳細はお問い合わせください。
※施策の実現にあたっては、対象小売事業者様のご承認が必要です。
まとめ
当社が実施した消費者調査の結果から、デジタル媒体を活用したサンプリング販促の高い効果が定量的に確認できました。 約4人に1人がサンプリングをきっかけに実際の購入に至り、同様に約4人に1人がSNSで商品・体験を投稿しているという事実は、この手法の持つ強力な購買促進効果を裏付けています。
従来の課題を克服した様々な形のサンプリング販促が可能になった今、この手法を戦略的に活用することで、ブランド認知の向上、新規顧客の獲得、既存顧客のロイヤルティ向上など、様々なマーケティング目標の達成が期待できます。一方で、施策の実施時には、どんな目的でどのターゲットに訴求するか、どの媒体を選定するか、どんなメッセージで消費者に訴求するかといった、販促施策の設計が重要になってきます。
物価高など、消費者の購買行動がますます慎重になる中で、「まず試してもらう」というサンプリングのアプローチは、今後さらに重要性を増していくと考えられます。適切な戦略設計と継続的な改善を通じて、サンプリング販促を効果的に活用していくことが、現代のマーケティング成功の鍵となるでしょう。