「スタンプラリー」キャンペーンとは?スタンプ付与型販促を行う狙いや、その手法などについて詳しく紹介
2025年8月27日
小売店でお買い物をする際に、「スタンプを集めて景品と交換」というキャンペーンに参加したことがある方は多いのではないでしょうか。古くから親しまれているスタンプラリーキャンペーンは、デジタル技術の進歩とともに新たな形に進化し、現代のマーケティング戦略において重要な役割を果たしています。
本記事では、スタンプ付与型販促の基本概念から最新のデジタル手法まで、その仕組みと効果について詳しく解説します。
スタンプラリーキャンペーンの概要
スタンプラリーキャンペーン(スタンプ付与型販促)とは、消費者が何らかの条件を達成することでスタンプを獲得し、一定数のスタンプが貯まると景品やポイント、特典などと交換できる販促手法です。
小売事業者やメーカーが企画・開催するスタンプ付与型販促の中で、最も一般的なパターンでは、キャンペーン実施期間の中で、指定された商品の購入や一定金額以上の買い物などを行うことでスタンプが付与されます。
例えば、「対象商品を1個購入するごとにスタンプ1個」「1会計で3,000円以上の購入でスタンプ1個」といった条件設定がなされることが多く、消費者は目標とする景品に向けてスタンプを計画的に集めていくことになります。こういった意味で、スタンプ付与型販促は、何らかの商品購入が企画への参加条件となる「マストバイキャンペーン」の一種であるとみなすこともできます。
スタンプ付与型販促の最大の狙いは、消費者の継続的な来店と購買行動を促すことです。キャンペーン期間中の商品購買点数や金額に一定のしきい値を設け、それを超えた購買に対してインセンティブを付与することで、顧客定着率の向上・購買頻度の増加・顧客単価の向上などが見込めます。
スタンプ付与型販促の歴史
スタンプ付与型販促は、その名の通り、紙製の台紙にスタンプの押印やシールを貼り付ける「スタンプカード」から始まりました。現代においても、その手軽さからアナログ媒体でのスタンプカードは広く普及していますが、スマートフォンなどのデジタルデバイスの登場により、デバイスや専用アプリ上でスタンプカードを表示・管理可能な、デジタル型のスタンプ付与型販促が主流となってきています。
デジタル型のスタンプ付与型販促は、スタンプの押印処理や条件判定をデジタル上で完結できるため、より柔軟な企画設計が可能となります。
スタンプ付与型販促のポイント
スタンプ付与型販促を企画する際には、以下のポイントを検討することが重要です。
1. 実施期間
キャンペーンの開始日から終了日までの期間を設定します。企業が設定する販促の実施目的やKPIにあわせ、適切な期間を設定します。
実施期間が短すぎると、一部の限られた消費者のみが参加可能な企画となってしまい、参加者が極端に少なくなってしまうリスクがある一方で、実施期間が長すぎると、一定期間における来店・購買頻度の増加といった企画本来の目的が達成できなくなる可能性があります。また、実施期間に対する必要スタンプ数の条件は、一般的な消費者にとって現実的に達成可能なレベルに設定することも重要です。
2. スタンプ付与条件
どのような行動を取ればスタンプが付与されるかの条件を設定します。具体的には、以下のような例が挙げられます。
- 特定商品の購入
商品の認知拡大や特定商品の売上向上を目的とする場合、対象商品を限定してスタンプ付与条件とする方法があります。「新商品Aを1個購入でスタンプ1個付与」といったシンプルな設定が一般的です。
- 一定金額以上の購入
客単価向上を目的とする場合、「3,000円以上の購入でスタンプ1個付与」のように金額のしきい値を設定します。消費者はスタンプ獲得のために購入金額を調整する行動を取るため、効果的な客単価向上施策となります。
- 複数商品の組み合わせ購入
関連商品のクロスセルを促進する場合、「商品Aと商品Bを同時購入でスタンプ1個付与」のような組み合わせ条件を設定することもあります。
また、一部のスタンプラリーでは、購入量などに応じてスタンプ付与数を変動させるインセンティブ設計が採用されています。例えば、 「1個購入でスタンプ1個、2個購入でスタンプ3個」のように、購入量が増えるほど付与数を上げて購買点数を上げる、特定の日時や条件下で「スタンプ2倍デー」などの特別企画を実施し、来店や購買の分散化や特定時期の売上向上を図る、「アプリ新規ダウンロードでスタンプ5個」のように、新規参加者の流入を図る、などが挙げられます。
交換景品・特典
集めたスタンプと交換できる景品や特典の内容を検討します。販促の実施予算や、企画のターゲット層にあわせた景品・特典を用意します。現物商品を発送するだけでなく、近年ではデジタルコードやポイントの進呈を行うことも一般的です。また、スタンプを全て集めないと景品・特典をもらえないのか、スタンプの達成度に応じて段階的に異なる景品・特典を用意するのか、といった事項も検討する必要があります。
デジタルスタンプ付与の手法とその特徴
デジタル化されたスタンプラリーでは、スタンプ付与の方法によってそれぞれ異なるメリット・デメリットがあります。以下、主要な付与方法について詳しく解説します。
1. QRコード読み取り方式
商品のパッケージや外装に印刷されたQRコードを、消費者がスマートフォンで読み取ることでスタンプを獲得する方式です。専用アプリやWebサイトでQRコードをスキャンすると、自動的にアカウントにスタンプが付与されます。
【メリット】
- QRコード読み取り直後にスタンプがリアルタイムに付与される設計が可能なため、消費者にとって分かりやすいインターフェースを実現可能
- スタンプの付与処理が原則的にシステムで完結するため、企画実施中のランニングコストが比較的安い
【デメリット】
- QRコードを読み取るための専用アプリの開発や運用にコストが必要であるため、一定の知名度のあるメーカーやブランド・商品に限られる
- 消費者が企画に参加するためには、上記のアプリダウンロードや会員登録といった一手間が必要となる
- 同一QRコードの重複読み取りや、商品を購入せずにQRコードのみを撮影するなどの不正行為が発生する可能性があるため、そのための対策(QRコードの一意性確保、読み取り回数制限など)が必要
2. レシート応募方式
消費者が商品購入後のレシートを撮影し、専用サイトやアプリにアップロードすることでスタンプを獲得する方式です。レシート画像はAIやOCR、オペレーターによって確認され、条件を満たしている場合にスタンプが付与されます。
【メリット】
- レシートによる確実な購買証明の取得と、不正行為のリスクの低減が可能
- 小売事業者の店舗従業員のオペレーションが原則的に不要であり、導入ハードルが比較的低い
- レシート情報から、同時購入商品、購買時間帯、利用店舗などのマーケティングデータが取得でき、詳細な効果検証が可能
【デメリット】
- レシートの撮影、アップロード、必要情報の入力など、消費者にとって手間のかかる作業が必要
- レシート画像の確認や二重応募の検知・抑止に関する人件費やシステム運用費など、企画実施中のランニングコストが比較的高い
- レシートの確認に時間がかかるため、スタンプ付与まで数日かかる場合があり、即時性に欠ける
3. POSデータ連動方式
小売事業者のPOSシステムと連動し、会員カードやアプリを提示して購買を行うと自動的にスタンプが付与される方式です。消費者による特別な操作は不要で、対象商品を購入するだけでスタンプが自動付与されます。
【メリット】
- スタンプ付与に係る消費者の操作が一切不要で、参加ハードルが低い
- POSデータを活用するため、確実な購買証明の取得や、購買パターン、来店頻度、客単価変動など、包括的な効果分析が可能となる
【デメリット】
- 小売事業者のシステムを活用するため、各事業者との調整が必要となる
- 小売事業者側の集計・スタンプ付与といったシステム処理のため、購入からスタンプ付与までにタイムラグが発生する可能性がある
MarketingOneは、ドラッグストア店頭でのデジタル販促が実現可能!
当社の販促ソリューション「MarketingOne」は、ドラッグストアを中心とした大手小売事業者に導入いただいており、店頭で商品を引き換えるデジタルクーポンを発行することが可能です。またクーポンの適用時に特定商品の購買証明を取ることで、マストバイ型の販促企画に役立てていただいております。
詳細はお問い合わせください。
※施策の実現にあたっては、対象小売事業者様のご承認が必要です。
まとめ
スタンプ付与型販促は、アナログ時代から現代のデジタル時代に至るまで、継続的に進化を続けてきた販促手法です。消費者の継続来店・継続購買を促進し、ブランドロイヤリティを構築する効果的なマーケティングツールとして、多くの企業に活用されています。
デジタル化により、多種多様なキャンペーン設計や、QRコード読み取り、レシート応募、POSデータ連動など、様々なスタンプ付与方法が選択可能になりました。それぞれにメリット・デメリットがあるため、企業の目的、予算、ターゲット層に応じて最適な手法を選択し、販促の効果を最大化することが重要です。